2025年11月17日 税理士 木田 穣
・M&Aでご自身の創業した会社をこれから譲渡しようとしている方
・創業した事業会社の株式をご自身の資産管理会社を通じて保有している方
当事務所では、ご自身の創業した事業会社の売却を検討されている方、またはM&A仲介会社を通じた売却交渉中のお客様から相談を受けることがよくあります。
その中で、創業した事業会社の株式を個人で保有するのではなく、資産管理会社を通じて間接的に保有されているケースが多くあります。このような場合、通常は顧問税理士からは以下のような案内がされると思います。
*(顧問税理士によるよくあるアドバイス例)
・資産管理会社が保有する事業会社の株式を売却した場合、売却益に対して資産管理会社で法人税等が約35%程度かかります。
・例えば、株式の売却益が30億円出た場合は、法人税率約35%と仮定すると法人税等が約10.5億円発生します。
このようなケースでは、その後法人税を将来に繰延べるためのオペレーティングリースの購入などを進められるケースもあります。
ちょっと、待ってください。そのM&Aで進めて本当に良いのでしょうか??
先ほどのように、資産管理会社を通じて売却しようとする事業会社の株式を保有している場合、以下の図のように主に2つのパターンの譲渡が考えられます。
方法その1:資産管理会社が保有している事業会社の株を売却する(先ほどのケース)
方法その2:資産管理会社の株式ごと、買い手に売却する方法(以下の図を参照)
この場合、事業会社の株式は資産管理会社の資産として紐づいていますので、オーナーが資産管理会社の株式を譲渡することで事業会社の株式も買い手に移動することになります。
この場合、資産管理会社の株式の売り手はオーナー個人になりますので、オーナー個人に対して約20%の所得税等が課税されます。先ほどの法人税等の税率が35%であるとすると、今回のケースでは税率が大幅に減額され、税金を支払った後に手元に残るお金が増えることとなります。
資産管理会社には「事業会社の株式」の他に「オーナー家の不動産であったり節税のためのオペレーティングリース商品など」がある場合も多いと思います。このような場合はどうすれば良いのでしょうか?
このような場合には、まず以下の図のように資産管理会社を会社分割という手法により2つに分けます。こうすることで、事業会社の株式のみを持つ資産管理会社とそれ以外の資産を保有する資産管理会社に分けることができ、事業会社の株式のみを持つ資産管理会社の株式だけを譲渡すれば良いことになります。
そのようにすれば、不動産等を保有する資産管理会社については従来通り資産管理会社として継続することが可能です。
上記のように、M&Aのスキームによって税金に大きな差が生じます。更には、その後の資産運用においても法人名義で資産運用した場合の運用益については永久に35%の法人税が課税されるのに対し、個人名義で資産運用した場合の運用益についての税率は約20%となり、資産運用でも大きな差が生じます。
将来的にM&Aを検討中のかたも、または現在進行形でM&A仲介会社を通じて譲渡の交渉を行なっている方もまだ間に合います。(買い手企業からすればどのスキームでも最終的な実態に変化はないので多くの場合で受け入れられます)是非1日でも早く当事務所にご相談ください。
なお、you tube でも以下の通り解説を行なっておりますのでよろしければご視聴ください。