topic解説:仮想通貨と海外移住についての解説

富裕層の海外移住について、「仮想通貨と海外移住の税金」についてのご質問を頂く機会が増えましたので、以下にて文章で情報をまとめておきます。(2022年10月時点回答)

FAQ「海外移住で仮想通貨の節税は可能か」とのご質問に対して

以下、法人で仮想通貨を保有している場合・個人で仮想通貨を保有している場合(個人保有の場合は、既に日本で利益確定した場合と含み益のある仮想通貨を保有している場合に分ける)に分けて、解説します。

①法人名義で仮想通貨を保有している場合

結論から申しますと、法人で仮想通貨を保有している場合、オーナーである個人が海外移住した時点までに税金が課税されます。(以下詳細な解説です)

 法人名義で含み益がある仮想通貨を保有していて、法人の株式を持っている個人の方が海外移住する場合を考えます。法人が保有する仮想通貨については決算期ごとに時価評価し、評価差益については法人税等が課税されます。仮に、法人の株主である個人が海外に移住した場合、法人の株式の価額(≒法人の純資産)が1億円以上であれば、日本を出国した時点で更に株式の含み益についても所得税が課税されます。
 具体的に申しますと、例えば資本金100万円で設立した法人が所有している仮想通貨の含み益が2億円である場合、含み益に対して法人税等(仮に2億円に対して7,000万円と仮定します)が課税されます。法人税等を支払った後の法人の資産が1億3,000万円であるとした場合において、法人の株式の評価については当初の出資額の100万円ではなく、法人の財産の純資産をベースに考えるため、株式の評価額は1億3,000万円であるものとします。株主である個人が日本を出国した場合、国外転出時課税制度(国税庁HPへリンク)により保有する株式の含み益(1億3,000万円から当初の出資額の100万円を差し引いた1億2,900万円)に対して、所得税等が約15%(翌年1月1日で日本の住民である場合は更に住民税5%)課税されることとなります。(税金計算上のイメージとなりますので、概算取得費など影響で実際の税金とは異なります。)

②個人名義で仮想通貨を保有していた場合(日本で仮想通貨同士の交換または法定通貨への利確を行った場合)

結論から申しますと、日本に住んでいる方(日本の居住者)が仮想通貨の交換(ステーブルコイン含む)や利確(法定通貨への変換)を行った場合、その後に国外移住した場合でも出国前に日本において所得税の確定申告と納税を行う必要があります。(これを準確定申告といいます。なお、日本で本人の代わりに納税事務を行う納税管理人を選任した場合は出国年の翌年3月に確定申告&納税をします)

個人名義で含み益のある仮想通貨を保有したまま、海外移住した場合

結論から申しますと含み益のある仮想通貨を保有した個人が海外移住し、海外で仮想通貨の利確(仮想通貨からステーブルコイン含む仮想通貨への変換または、現地法定通貨への変換)を行った場合、現行税制では原則として日本の所得税の課税はされません。
 例えば、商社マンが含み益のある仮想通貨を保有したままま、海外転勤となった場合海外駐在中に仮想通貨の利確を行った場合、日本の所得税は課税されません。現行制度では、仮想通貨は国外転出課税制度(含み益ある有価証券等を持った人が海外移住する際に、含み益に課税する制度 国税庁リンクの対象外であるため、出国時においても仮想通貨の含み益に課税されません。
 先ほどの例では、海外駐在と書きましたが日本に住んでいるか(この場合全ての所得に所得税課税)、または「海外に住んでいるか」(この場合、国内に起因する所得のみ所得税課税)の判定は、居住場所、資産の所在、職業、家族の状況を総合的に勘案して判断されます。(住民票を抜けば非居住者になるとか、183日国外にいさえすれば非居住者になるということはありません)
 また、仮想通貨の含み益への日本の課税回避のためだけに、海外移住するとの判断がされた場合などは日本の税金が課税されることがありますので、節税目的だけの安易な海外移住は禁物です。
 更に、将来において仮想通貨国外転出課税制度(含み益ある有価証券等を持った人が海外移住する際に、含み益に課税する制度 国税庁リンク)に組み込まれるような税制改正がされ場合(本稿執筆時現在ではそのようにはなっていませんが)には、出国時において仮想通貨含み益に課税されることとなります。

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